診療部門のご案内

消化器外科(下部消化管外科)

診療内容・専門分野

診療部長、教授 平能康充

診療部長、教授 平能康充

<ごあいさつ>

令和3年2月1日付けで下部消化管外科分野教授を拝命致しました。
私のモットーは「すべての治療は患者のために」であります。そのためには、最新の知識と最高の技術を持って治療に当たらなくてはなりません。同様に「現在の治療成績に決して満足しない」を忘れず、今後も新しい手術法の開発を目指して参ります。
個人としては、国内最多(個人として1000例以上、チームとして1200例以上)となる大腸がんに対する単孔式手術を施行し、その治療成績は国内外から高い評価を頂いております。現在は更に、ロボット手術や経肛門操作の手術も症例を重ねております。また、抗がん剤治療や放射線治療も適切に併用しながら、大腸がんの各患者さんに応じたあらゆる手術治療を行っております。高い技術と共に、質の高い低侵襲治療を患者様に提供出来るよう、日々進歩し続けます。
 

【大腸がんとその治療方法】
 
大腸は、結腸・直腸・肛門と続く管状の臓器で、ここにできるがんが「大腸がん」です。できた部位により、結腸がん・直腸がんに分けられます。大腸がんは最も罹患数の多いがんです。大腸がんの治療は、がんの部位や進行度により内視鏡治療・手術治療・化学療法(抗がん剤治療)・放射線療法が行われます。
当院は大腸がんに対するこれら全ての治療を行うことができる施設で、各診療科・看護部・薬剤部・リハビリテーション科などと連携しながら、それぞれの患者さんの病状を総合的に判断し、最も適した治療を提供できるよう心がけています。下部消化管外科は主に手術治療を行っています。

【当院の強み】
 
国内トップクラスの医療技術・設備を有しており、大腸がんに対するあらゆる治療の選択肢から、病態や背景を考慮した患者さんに最適と考えられる治療をシームレスに行うことができます。
 

【埼玉医科大学国際医療センター下部消化管外科の特徴と治療方針】

■国内有数の大腸がん手術施設
大腸がんのうち、内視鏡治療の適応にならない早期がんと進行がんに対して、手術治療が行われます。下部消化管外科は、原発性大腸がんの手術件数は年間約500例であり、国内でもトップクラスの大腸がん手術施設です。がんの部位や進行度、患者さまの全身状態などを総合的に判断し、最適と考えられる手術を行っています。
 
■低侵襲手術が治療の柱

  • 創が小さく痛みも少ない腹腔鏡手術やロボット手術の経験が豊富で、95%以上の大腸癌はこれらの手術で治療しています。
  • 通常の腹腔鏡下手術のみならず、ひとつの小さな創(キズ)で同様の手術を行う単孔式手術も積極的に行っています。
  • 肛門に近い直腸がんに対しては、十分取り切ることと肛門機能温存の両立を主な目的として、経肛門からの内視鏡操作を併用する難易度の高い手術(TaTME)を選択しています。
  • 国内で最初に導入した「センハンス・デジタルラパロスコピー・システム」を用いて安全かつ精緻な手術を行ってきましたが、2022年度からは「ダビンチ・サージカル・システム」という最先端の手術支援ロボットも導入し、さらに難易度の高い症例に対しても、精緻なロボットならではの体に優しく、排尿・排便・性機能などの温存に留意した高難易度手術にも取り組んでいます。

当科は多くの大腸がんの治療経験と通常の腹腔鏡下手術から単孔式、TaTME、2種のロボット支援下手術まで多くの治療選択肢を有しており、がんの進行度や部位に応じて最適な手術術式を十分検討した上で選択し、治療を行っています。

【当科の強み】
 
多くの手術実績と最新の手術設備をもとに、がんの進行度や機能温存を考慮した低侵襲手術をフルラインの治療選択肢から最適な手術を行うことができます。
 
■良性腫瘍や他の悪性腫瘍への取り組み

  • 消化器内視鏡科により、良性大腸ポリープなどの内視鏡治療、術後の定期的な内視鏡検査も行っています。
  • 手術適応のある神経内分泌腫瘍や粘膜下腫瘍などの腫瘍への手術治療を行っています。

■高度進行がん・再発がんへの取り組み

  • 切除困難な進行がんや、肝臓・肺などへの転移をきたした大腸がんの場合、化学療法や放射線療法を行ったり、これらを先行後に手術を行います。
  • 局所進行直腸がんに対し、Total Neoadjuvant Therapy:TNT(術前短期放射線療法+全身化学療法)や化学放射線療法を行った後に手術治療を行うことで、無遠隔再発生存率向上に取り組んでいます。
  • 根治(治しきること)が可能と考えられる場合は専門各科との連携により、合併切除や再建も手術を行っています。
  • 根治が難しい場合は、患者さんの状態に応じ、最も適切と考えられる医療を連携を通じて行います。

当科は消化器腫瘍科・消化器内視鏡科・病棟との各合同カンファレンスを通して、従来の外科的切除ありきではなく、それぞれの患者さんの病態や要望を考慮した集学的治療を行っています。

【当院の強み】
 
患者さんの状態と背景に応じて、地域の医療従事者の方々の協力を得ながら連携し、病院機能を活かした治療を行うことができます。
 

ロボット手術(ダビンチ手術)について

ロボット支援下手術とは、腹腔鏡手術を手術支援ロボットを用いて行う手術のことです。
ロボット(ダビンチ)支援下手術は、以下のような今までの腹腔鏡手術の利点をさらに向上させることができると考えられています。
① 腹腔鏡手術より、複雑で細やかな手術手技が可能(手振れがない)
② 3次元による正確な画像情報を取得できるため、より安全かつ侵襲(しんしゅう)の少ない手術が可能
次世代の医療改革の一端を担った分野と考えられています。
 
この手術支援ロボットは、欧米を中心にすでに医療用具として認可され、1997年より臨床応用されており、2022年12月までに世界で約6000台が稼働しています。わが国では2009年11月に本機器が厚生労働省により薬事承認(やくじしょうにん)され、約600台(2022年12月時点)が稼動しています。
 
埼玉医科大学国際医療センターには最新式のda Vinci(ダ・ヴィンチ) Xiが2台導入されています。
 
ロボット手術はその手技の精密さから、特に下部直腸がん(肛門に近い直腸がん)で最大限に利点を発揮します。

<腹腔鏡下手術とダビンチ手術の違い>
腹腔鏡下手術の場合、手術に使用する鉗子は実際の手の動きとは反対方向に動き、さらに直腸のような骨盤の深いところでは実際の手の動きより大きく動きます。また直線的な鉗子を用いるため、狭い骨盤内では操作の制限があり、腹腔鏡下手術の技術と工夫が必要となります。 ダビンチ支援で行う手術操作は、①実際の手の動きが鉗子に反映される直感的な操作、②人間の手の動きを模倣した多関節を持った鉗子であり、人間の手以上の自由な動き、③実際の手の動きを最大5:1まで縮尺して鉗子を動かすことによる繊細な動作が可能になります。このようなダビンチの特性により、直腸がんの場合、術者は狭くて深い骨盤の中でも、容易に正確で繊細な手術が可能となります。

<ロボット手術の実績>
当科では、2022年は10月よりダビンチによるロボット手術を施行しています。
 

ダビンチ手術について知りたい方へ

→当院のロボット支援下手術・ダビンチ手術について知りたい方へ こちら
 

ロボット手術(センハンス手術)について

<腹腔鏡下手術とダビンチ手術の違い>
<腹腔鏡下手術とセンハンス手術の違い> 腹腔鏡下手術の場合、手術に使用する鉗子は実際の手の動きとは反対方向に動き、さらに直腸のような骨盤の深いところでは実際の手の動きより大きく動きます。また直線的な鉗子を用いるため、狭い骨盤内では操作の制限があり、腹腔鏡下手術の技術と工夫が必要となります。
センハンスで行う手術操作は、①腹腔鏡手術の操作と同様の操作方法で、操作に慣れている、②実際の手の動きを3:1などに縮尺して鉗子を動かすことによる繊細な動作が可能になる、③触覚機能がある、④術者の目(虹彩)の動きでカメラを動かすことができる。このようなセンハンスの特性により、容易に正確で繊細な手術が可能となります。


 
<ロボット(センハンス)手術の実績>
当科では、2018年は5月よりセンハンスによるロボット手術を施行しています。
オーガンリトラクター(腸間膜などの組織を牽引する器具)や細径鉗子を用いることで、少ないキズの数や小さなキズでセンハンス手術を行っています。
 

センハンス手術について知りたい方へ

→当院のロボット支援下手術・センハンス手術について知りたい方へ こちら
 
 

単孔式手術について

<通常腹腔鏡下手術とロボット手術との違い>
通常の腹腔鏡下手術やロボット手術の場合、手術の際にまず、5,6か所に小さな孔をあけて道具を出し入れするポートと呼ばれる器具を留置します。使用する鉗子と内視鏡をそれぞれのポートに挿入して手術操作を行います。単孔式手術は、まず臍に3㎝ほどの小さな創(キズ)を置き、通常3か所にポートを留置した装具を装着し、手術操作を行います。 単孔式手術で行う手術操作は、①互いの鉗子の接触(干渉)に注意しながらエネルギーデバイスを用い、②一定のノウハウやスキルが必要ですが、通常の腹腔鏡下手術やロボット手術と遜色ない剥離や切開操作を行います。
単孔式大腸がん切除術の世界的な第一人者である教授による導入、指導により、現在では多くの外科医が質を保った安定した大腸がん切除術を単孔式で行っています。

<単孔式大腸がん手術の実績>
単孔式大腸がん切除術の第一人者である教授の平能が、当院に赴任した2018年4月から導入。
1000例を超える平能の執刀経験と技術をもとに、現在では主に右側結腸がんに対し、手術の質を落とすことなく多くのスタッフが施行している。
 

TaTME手術について

TaTMEとは、Transanal Total Mesorectal Excision(経肛門的直腸間膜切除術)の略で、通常の腹腔からの操作に加え、肛門からもカメラと鉗子を挿入し直腸と直腸間膜を切除する術式です。腹腔からの操作では直腸はな鉗子操作では制限がかかり細かい操作が非常にやりにくい場所です。一方、肛門側から見れば腫瘍は非常に近い位置にあり、間近に見ながら(良好な視野で)腫瘍肛門縁との確実な距離を保って切除でき、直腸間膜という癌との距離を取る適切な切除ラインに沿って切除ができます。鉗子も直線的にアプローチできより繊細な遠い位置となり、さらに仙骨に沿ってカーブ(屈曲)しているために直線的操作が可能になります。また、腹腔側からと肛門側からと同時に2チームで行うことで手術時間はかなり短縮され、患者さんにとっても負担軽減となり、非常にメリットがあると考えられます。双方のやりにくい部分をお互いに補うことで、手術の安全性だけでなく、がんの根治性にも有利に働くと期待されています。
直腸癌であれば全ての症例に適応がある術式ではありません。腫瘍の肛門からの距離や進行度が重要な鍵となります。肛門に近い腫瘍であれば肛門温存が難しい場合がありますが、経肛門的にアプローチすることでより確実な切離線を決定することで肛門温存の可能性が出てくる場合があります。ご自分がこの術式に適応があるかに関して疑問をお持ちであればお気軽に担当医にご相談ください。

<TaTME手術の実績>
2021年4月から導入。
下部直腸がんに対し、腹腔側からと肛門側から同時に2チームで行っています。
 


対象疾患

ご説明しましたとおり、手術適応となるあらゆる大腸がんや、神経内分泌腫瘍や粘膜下腫瘍などの腫瘍への手術治療を行っています。
また、早期がんに対する大腸内視鏡治療の可能性から、切除不能・困難な高度進行癌に対する集学的治療まで、各科との連携を図って取り組んでいます。


<大腸がんの患者さんへ>

大腸がんの手術で最も大事なことは、根治性ですが、同時に排便・排尿・性という機能温存も重要と考えており、可能な限り機能温存に努めています。
また、各科やがん治療に関わる医療スタッフとのチーム医療として、がんの状況や患者さんに応じたがん治療を行っています。
不安に感じていることや分からないことなどがございましたらお気軽にご相談ください。


外来医師診療表

 
初診 田中 裕人
(午前)

石井 利昌
(午後)
岡崎 直人 平沼 知加志
(午前)

平能 康充
(午後)
出口 勝也 藤井 能嗣 石井 利昌
(午前)

交代制
(午前・午後)
午前 田中 裕人 岡崎 直人 平沼 知加志 出口 勝也 藤井 能嗣 石井 利昌

交代制
午後 田中 裕人 /
石井 利昌
岡崎 直人 平能 康充 /
交代制
出口 勝也 藤井 能嗣 交代制

紹介時のお願い

毎日、下部消化管外科チームの医師が新患を受け付けています。手術適応や治療法などでご判断が難しい症例につきましても、ご遠慮されず紹介・相談いただければ幸いです。
外来予約枠がいっぱいでも、新患や緊急患者については随時受け付けさせていただきますので電話等でご一報いただければ幸いです。


地域連携への取り組み

がん治療に対する当院の役割や機能の面から、地域連携によるフォローアップや術後補助化学療法、緩和医療についてお願いする場合がございます。ご多忙中申し訳ありませんが、ご理解、ご協力をお願い申し上げます。


担当医師

診療部長、教授

平能 康充

専門分野
下部消化管外科、内視鏡外科
主な資格
日本外科学会外科認定医・専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本大腸肛門病学会専門医、指導医、日本消化器病学会専門医、指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医

診療副部長、准教授

出口 勝也

専門分野
下部消化管外科、内視鏡外科
主な資格
日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・認定医・消化器がん外科治療認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本腹部救急医学会 腹部救急認定医

准教授

平沼 知加志

専門分野
下部消化管外科、内視鏡外科
主な資格
日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医、日本消化器内視鏡内視鏡学会専門医・指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本がん治療認定機構がん治療認定医

講師

石山 泰寛

専門分野
下部消化管外科、内視鏡外科
主な資格
日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医

非常勤講師

石井 利昌

専門分野
下部消化管外科、内視鏡外科
主な資格
日本外科学会専門医、日本消化器病学会専門医、 日本消化器内視鏡学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本消化管学会胃腸認定医

助教

岡崎 直人

専門分野
下部消化管外科
主な資格
日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、 日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)

助教

藤井 能嗣

専門分野
下部消化管外科
主な資格
日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)

助教(臨床フェロー)

田中 裕人

専門分野
下部消化管外科
主な資格
日本外科学会専門医

助教

芥田 壮平

専門分野
下部消化管外科

助教

大和 美寿々

専門分野
下部消化管外科

助教

吉澤 政俊

専門分野
下部消化管外科

客員教授

絹笠 祐介

専門分野
大腸癌に対する腹腔鏡手術・ロボット手術
主な資格
日本外科学会外科専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本ロボット外科学会Robo-Doc Pilot国際A級

客員教授

上原 圭

専門分野
骨盤腫瘍(高度局所進行・再発大腸癌)の手術
主な資格
日本外科学会外科専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化管学会胃腸科認定医・専門医・指導医

外来医師診療表

 
初診 田中 裕人
(午前)

石井 利昌
(午後)
岡崎 直人 平沼 知加志
(午前)

平能 康充
(午後)
出口 勝也 藤井 能嗣 石井 利昌
(午前)

交代制
(午前・午後)
午前 田中 裕人 岡崎 直人 平沼 知加志 出口 勝也 藤井 能嗣 石井 利昌

交代制
午後 田中 裕人 /
石井 利昌
岡崎 直人 平能 康充 /
交代制
出口 勝也 藤井 能嗣 交代制