臓器移植センターは包括的がんセンターの中にあり、腎臓移植後の外来診療のほかに、移植相談、献腎移植希望者の登録、移植待機中の管理を行っています。
また、日本臓器移植ネットワーク指定の移植検査センターが併設されており、献腎移植希望者は登録手続きと同時に組織適合性検査を行うことができます。
その他、緊急の臓器移植に備えて移植医、移植コーディネーター、検査技師が24時間対応できる体制が整備されています。
<腎不全の治療>
腎臓の機能が著しく低下して、体内の老廃物や水分、塩分が排泄できなくなり、体内に老廃物が溜まった状態を腎不全(尿毒症)といいます。慢性腎不全が進行して末期腎不全にいたった場合は腎臓の機能が回復する可能性がなく、透析療法(血液・腹膜透析)や腎臓移植療法(生体・献腎移植)が必要となります。
1)透析療法
透析療法には、血液を体外に送り出して人工腎臓に血液を通して血液を洗い体内に戻す血液透析と、お腹に埋め込んだカテーテルから透析液を入れて、腹膜を介して血液をきれいにする腹膜透析の2種類があります。どちらも腎臓の働きを元に戻す方法ではないため、透析は一生続けなければなりません。透析を行っていても腎不全や尿毒症は治りません。
2)腎臓移植療法
腎臓移植は、第三者から提供していただいた腎臓を移植して、自分の腎臓の代わりに働いてもらう方法で、末期腎不全に対する根本的な治療法です。お亡くなりになられた方から腎臓の提供を受けて行う献腎移植と、身内の方(6親等以内の血族・3親等以内の姻族)で自発的意思によって提供された腎臓を移植する生体腎移植があります。どちらも提供者がいなければ移植を行うことはできません。
<腎臓移植を受けたい あるいは考慮中の方へ>
腎臓移植は末期腎不全の根本的な治療法といわれ、移植した腎臓が機能すれば、透析から解放されます。水分や食事制限も緩和され、通院する回数も減少します。尿毒症の症状が改善されるため全身状態が良くなり、透析治療と比べると生活の質(QOL)が大幅に改善されます。女性では、移植した腎臓の機能が良ければ妊娠、出産も可能となります。しかし、移植は良いことばかりではありません。手術を行うためには全身麻酔をかけなければなりません。移植した腎臓が拒絶反応により機能不全にならないよう、免疫抑制剤という薬を、移植した腎臓が機能している限り飲み続けなければなりません。免疫抑制剤による副作用の出現や拒絶反応・感染症などの合併症に気をつける必要があります。移植した腎臓が一生機能するとは限りません。移植した腎臓の機能が低下して透析に戻ることもあります。提供者(ドナー)にも不利なことがあります。移植希望者、提供候補者がそれぞれの利点・欠点を十分に理解した上で選択することが望ましいでしょう。
当センターにはレシピエント移植コーディネーターがいます。移植のこと、手術のこと、日常生活、仕事のことなど腎臓移植に関するどのような内容でも、気軽にご相談ください。
<移植外来> 担当:移植医、移植内科医
腎臓移植を受けられた方の継続治療。腎臓を提供された方の経過観察。生体腎移植を希望されている方と腎臓提供を希望されている方の診察、手術前評価を行っています。
月曜日・土曜日午前中(予約制)
<献腎登録者外来>
献腎移植を希望して日本臓器移植ネットワークへ登録されている方の診察や相談を行っています。
<移植相談> 担当:レシピエント移植コーディネーター
移植医療に関する相談、移植者・提供者の移植前・後の面談・相談、家族相談
献腎移植希望者への説明、登録手続きを行っています。
月曜日・土曜日午前中(予約制)
当日の予約状況によっては長時間お待ちいただく場合もあります。
透析などの日程により受診日時のご都合が悪い場合は、予約時にご相談ください。
<患者会>
当センターで腎臓移植を受けた患者様で構成する会(キドニー二人三脚の会)があります。勉強会、親睦旅行、忘年会、移植推進キャンペーンなどの活動を行なっています。移植を受けるか悩んでいる方は、移植を受けた方や腎臓を提供された方から直接話を聞くこともできます。
当診療科では次のような方を診ております
腎臓移植を希望している
慢性腎不全と診断されて透析療法か腎臓移植が必要と言われている
透析療法を施行中で腎臓移植を考えている
腎臓移植を受けるか悩んでいる
身内に慢性腎不全の方がいて腎臓移植について知りたい
腎臓移植に興味がある
献腎移植について知りたい(登録をしたい)
他施設で腎臓移植を施行されて当院での通院継続治療を希望している
当院で腎臓移植手術を受けた
当院で献腎移植を希望して登録している
<臓器移植センター/移植検査センターの業務>
・臓器移植に関する相談
・移植後患者様の外来診療
・献腎移植の相談と登録窓口
・HLA検査、クロスマッチ検査などの移植に必要な免疫検査
・献腎移植のための臓器摘出担当
・献腎移植登録希望者の組織適合性検査(HLA検査)
・埼玉県および関東地域の移植登録者の血清管理およびHLA精度管理
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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初診 | 小山 勇 | -- | -- | -- | -- | 岡田 克也 |
午前 |
小山 勇 井上 勉 梅木 恵理 (移植相談) |
-- | -- | -- | -- |
岡田 克也 梅木 恵理 (移植相談) 野口 隆雄 (移植相談) |
午後 | -- | -- | 献腎登録者外来 | -- | -- | -- |
<受診予約>
外来予約センター:042-984-0475
~よくある問い合わせをQ&Aとしましたので参考にして下さい~
Q:腎臓移植を受けたいのですが
A:あなたの身内(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)に自分の腎臓を提供したいと希望されている方がいる場合には生体腎移植を行うことが可能です。ご本人と提供候補者が一緒に来院できる日をご予約下さい。ほかに、移植に関する話を聞きたいというご家族がおられましたら同席していただく事をお勧めします。身内に提供候補者がいない場合は日本臓器移植ネットワークへ登録して亡くなられた方からの善意での提供を待ちます。(登録に関しては後述)
Q:生体腎移植と献腎移植の違いは
A:生体腎移植の場合には身内の方から腎臓の提供を受けます。腎臓を提供する方が自発的意思で腎臓提供する事を希望し、2つの腎臓が正常に働いていることが検査で確認されれば、移植医療を行うことができます。移植手術のための検査、入院、手術は患者様の都合に合わせて予定を組むことができます。
献腎移植の場合には亡くなられた方から腎臓の提供を受けます。日本臓器移植ネットワークに登録して提供者が現れるのを待ちます。実際に移植候補にあがるまで、どれくらい待つかわかりません。移植候補者になった場合は緊急入院、緊急手術となります。
Q:誰でも腎臓移植を受けることができますか
A:移植を受ける方をレシピエントと言いますが、レシピエントは全身麻酔をかける手術に耐えられることが条件です。ほかに進行性の疾患にかかっていないことや移植後に免疫抑制療法が行えることなどの条件があります。
基本的には透析を行っている方は腎臓移植を受けることができます。また、透析を導入しようとしている直前の状態で移植手術(先行的腎移植)を行うことも可能です。しかし、ごく一部の疾患では移植をしてもすぐに同じ病変を引き起こすため受けられないことがあります。合併症がある場合は移植手術の前にそれぞれの病気に対する治療を受ける必要がありますのでご相談ください。
Q:腎臓はどこに移植されるのですか
A:腎臓は左右どちらかの下腹部に移植されます。提供された腎臓の血管と尿管をレシピエントの血管と膀胱にそれぞれ吻合します。移植された腎臓は骨盤の中に収まりますが、お腹に手を当てると触ることができます。自分の腎臓は体内に悪影響を起こさないかぎりは摘出しません。従って、3つ目の腎臓が移植されることになります。
Q:移植した腎臓がお腹にあるために注意することはありますか
A:腹部を直接圧迫・強打するようなことは避けて下さい。運動であれば格闘技、柔道、鉄棒などはできません。ほかに、仕事上腹部で重い荷物を支えなければいけない場合、オートバイなどで転倒した場合は腎臓に悪影響を及ぼす危険がありますので控えた方が良いでしょう。
Q:移植後すぐにおしっこが出ないと聞きましたが
A:生体腎移植の場合には、ドナーとレシピエントは隣り合わせの手術室に入ります。ドナーの腎臓を摘出してレシピエントに移植されるまでの時間が短く、通常は血流が再開されたのちに数分~数十分で尿の流出が認められます。しかし、ドナーの腎臓の状態や拒絶反応により尿が出はじめるのに時間がかかる場合があります。その場合は移植後に数回の透析を必要とします。
献腎移植の場合には提供者の心臓が停止した死後に腎臓を摘出して保存液に入れてレシピエントのいる病院に搬送されてから移植手術となります。移植手術直後から尿が出ることは稀で、ほとんどの症例が移植後充分な尿量が得られるまで透析を必要とします。およそ数日~数週間で尿が出はじめ、移植した腎臓の機能が徐々に回復します。
Q:腹膜透析の人は移植手術後も腹膜透析ができますか
A:CAPDカテーテルの留置は腹膜炎を起こす原因ともなりますので、腎臓移植手術と同時に腹膜留置カテーテルを抜いてしまいます。移植後に透析が必要となった場合には血液透析となります。
Q:移植しても透析に戻った人がいますが、移植した腎臓はどのくらいもちますか
A:移植の成績は、‘生着率’(移植した腎臓が何年後にどれくらい機能しているかの割合)で表します。日本移植学会の報告によると、2006年~2012年に行われた生体腎移植5,945例の生着率は1年で97.8%、5年92.8%でした。すなわち、移植後1年では97.8%の人が移植した腎臓の機能が得られており、残りの2.2%の方は1年以内に移植した腎臓が働かなくなっているということです。献腎移植1,014例の生着率は1年で93.9%、5年83.0%となっています。移植した腎臓が機能しなくなった方は、透析をしながら次のチャンスを待っています。
(詳しい移植の成績は日本移植学会のHPをご参照ください)
Q:移植は何回でも受けられますか
A:受けられます。当院でも2回の移植を受けた方が数名います。また、3回目の移植を待機している方もいます。
Q:なぜ移植した腎臓が機能しなくなるのですか
A:移植腎機能が廃絶する原因の大半は、拒絶反応によるものと考えられます。慢性の拒絶反応が一番の原因ですが、急性の拒絶反応により移植腎機能を失うこともあります。ほかに、腎不全になった病気が移植腎に再発することもあります。また、薬の飲み忘れや薬の腎毒性などの原因も考えられます。
Q:拒絶反応は誰にでも起きるのですか
A:提供者が一卵性双生児の場合以外は誰にでも拒絶反応が起こります。私たちの体は、自己以外の異物が体内に侵入してきたときに、自分を守るためにその異物を排除しようという働きが生じます(自己防衛・免疫反応)。移植腎を異物として認識して体内から排除しようとする攻撃が始まり(拒絶反応)この反応により移植した腎臓の機能は失われてしまいます。移植した腎臓の機能が失われてしまったら、透析を離脱することはできません。この反応を抑えて移植した腎臓が体内で攻撃されないように自己免疫反応を抑える治療を行います。そのために免疫抑制剤という薬を使用します。
Q:拒絶反応が起きた場合はどうなるのですか
A:拒絶反応の起こる時期により急性拒絶反応と慢性拒絶反応に分かれます。移植後3ヶ月以内に発症するものを急性拒絶反応といい、移植した腎臓が急に機能低下をきたします。一時的に腎機能は悪くなりますが、急性拒絶反応治療薬によって治療効果が期待できます。一方の慢性拒絶反応は徐々に移植腎の機能低下が起こり、慢性に経過するので血清クレアチニンが徐々に上昇します。免疫抑制剤による治療効果も期待できません。治療をおこなっても改善されなければ移植腎機能は失われてしまいます。
Q:移植した腎臓が機能しなくなった場合はどうなるのですか
A:慢性腎不全として再び透析治療を行わなければなりません。移植した腎臓の機能が失われた場合でも、しばらくは免疫抑制剤を服用しなければなりません。
透析療法を開始しても免疫抑制剤の服用中は免疫力が低下しているため、腹膜炎の危険があるCAPDは控えて血液透析を行います。徐々に免疫抑制剤を減量して拒絶反応が起こらなければ移植した腎臓はそのまま体内に残しておきます。移植した腎臓が体に悪影響を及ぼす場合は、全身麻酔をかけて移植した腎臓を摘出しなければなりません。
Q:免疫抑制剤はいつまで飲むのですか
A:移植した腎臓が機能している限り飲み続けなければなりません。移植後直後には拒絶反応抑制のために大量の免疫抑制剤を使用しますが、徐々に減量していきます。移植した腎臓の機能が低下して透析になってしまっても、すぐに免疫抑制剤を切ることはできません。透析を行いながら徐々に減量していきます。
Q:免疫抑制剤には副作用があると聞きました
A:基本的な免疫抑制剤(シクロスポリン・プログラフ)の副作用として腎毒性があります。長期に服用するため慢性的な腎毒性により移植した腎臓の機能が低下することがあります。ほかに高血圧・高脂血症・糖尿病などの副作用があげられます。副作用の出現を最小限に抑えるために血液中の薬剤濃度の測定を行い、個々に応じた適正な投与量を調整します。このほかに組み合わせて使用する薬剤(アザチオプリン・ミゾリビン・セルセプト)などには骨髄抑制の副作用により白血球の減少や貧血などがあります。セルセプトを内服されている方は下痢・軟便などの症状が多く報告されています。副作用の出現時には副作用に対する治療のほかに薬剤の減量・変更・中止を行います。
Q:腎臓移植者の入院期間はどれくらいになりますか
A:生体腎移植の場合は、移植手術の前に数回の外来通院が必要となります。外来で行える検査や合併症に対する治療は、手術のための入院前に外来通院で行います。血液透析を行われている方は手術の3日前に入院していただきます。透析を行っていない場合や腹膜透析の場合、血液型が異なる移植の場合は手術の7日前に入院し、移植手術に向けての準備を始めます。
移植手術のあと順調に経過すれば、手術後2~3週間程度で退院となります。しかし、拒絶反応や感染症など何らかの合併症が起こった場合には、その治療を行う必要がありますので入院期間が長くなります。
献腎移植の場合は、いつ手術になるかの予測が立ちませんので緊急入院をして手術になります。また、移植手術直後から尿の流出が見られることは稀で十分な尿量が得られるまでは血液透析が必要となります。平均すると手術後約5週間の入院となります。
Q:退院後はどれくらいの割合で通院するのですか
A:退院後しばらくのあいだは1~2週間に1度、受診して血液検査を行い免疫抑制剤のコントロールを行います。移植後3ヶ月くらいを目安に1ヶ月に1度の定期受診となります。移植後1年以上経過して、移植した腎機能が落ち着いて自己管理が行えている方は1~2ヶ月に1度の診察となります。腎機能に変動がある場合や拒絶反応、感染症が起きた場合には、その治療のために頻回に通院することがあります。また、自己管理が不十分である場合には通院回数が多くなります。透析の時に比べて病院に行く間隔が長くなるため、その間の自己管理が重要となります。体調の変化や心配なことは、いつでもコーディネーターに連絡してください。
Q:移植後の生活で気をつけることはありますか
A:免疫抑制剤を忘れずに服用することです。薬は決められた時間にきちんと服用してください。また、移植後は食水分や食事の制限がなくなり味覚障害も改善されるため、食べ過ぎになりがちです。暴飲暴食を避け、規則正しい生活習慣を心がけてください。
Q:腎臓移植の費用はどれくらいですか
A:腎臓移植手術にかかる費用は保険が適用されます。加入している保険の種類に応じて1割~3割の自己負担になりますが、患者様自己負担分は身体障害者福祉法に基づく自立支援医療などの公費助成制度を利用することにより更に軽減されます。また、身体障害者手帳取得者(1級)は重度医療が適用され、自己負担額を役所の福祉課に還付請求することができます。透析と比べても、自己負担分はそれほど変わりません。移植後も身体障害者手帳は取得したままで、返却する必要はありません。透析導入前に腎臓移植を行う場合には、移植前に身体障害者手帳の交付申請を行わなければなりませんので注意が必要です。障害年金に関しては、ほとんどの方が移植後の更新時に切られてしまいます。
Q:移植後の通院にかかる費用はどれくらいですか
A:今まで透析を行っていた方は、長期特定疾病などの制度により毎月の医療費上限額が決められていますが、移植後の通院に関してはこの制度の対象から外れてしまいます。しかし、自立支援医療の申請を行うことにより窓口負担が軽減されます。更に障害者医療費助成制度により自己負担額を役所の福祉課に還付請求することができます。従って、窓口の支払額は所得に応じて設定されますが(0~2.2万円)負担分に関しては透析の時と同様に還付請求が行えます。
Q:生体腎移植を考えていますが提供者(ドナー)は誰が良いですか
A:日本移植学会の倫理指針では、生体腎ドナーは「本人の自発的意思で提供を希望し、報酬を目的とするものであってはならない。提供できる範囲は6親等以内の血族と3親等以内の姻族に限定。(中略)」と定められています。このことを踏まえ、提供する意思の強い方が提供候補者となることが望ましいでしょう。
Q:血液型が違っていても腎臓を提供できますか
A:できます。献腎移植の場合、血液型は適合であることが条件となっていますが、生体腎移植の場合には血液型不適合であっても、移植手術前にレシピエント側の処置を行いドナーの血液型に対する抗体を低下させることにより移植を行うことが可能となっています。血液型の組み合わせと抗血液型抗体の強さにより処置の内容が決まります。免疫抑制剤が良くなった現在では、移植の成績も血液型が同じ場合と比べて大差なく、良好な成績が得られています。
Q:病気で治療中でも腎臓を提供できますか
A:本来、ドナーは健康であることが条件となりますが、片方の腎臓を提供しても今までと同様の生活が送れることが検査で確認されれば、加療中であっても腎臓の提供を行うことは可能です。しかし、感染症にかかっている場合や悪性疾患の場合には腎臓提供はできません。まず、外来で腎機能検査、心臓検査、手術に必要な一般的検査を行います。全身麻酔の手術に耐えられる状況で腎機能が正常であることが確認されなければなりません。合併症がある場合にはその治療が優先され、落ち着いてから再び検査をおこないます。
Q:腎臓を提供して不利なことはありますか
A:まず、自分が病気ではないのに全身麻酔の手術を受けて片方の腎臓を摘出しなければなりません。よって、手術による傷跡が残ります。手術後は腎臓が1つになってしまします。残された腎臓が病気や事故で機能しなくなった場合は提供者が透析になることも考えられます。また、手術前の検査や入院の際には仕事を休まなければなりません。手術で腎臓を摘出しても生命保険への入院給付金の対象にはなりません。移植後に定期的に通院して検査を行う費用は自己負担になります。
Q:提供者の手術はどんな手術ですか
A:手術の方法は2種あります。手術による浸襲が少ない、腹壁に3-4か所と腹部に5~6センチの切開創をおいて、腹壁の穴から内視鏡用の器具を用い腎臓周囲を剥離して側腹部の創より摘出する腹腔鏡下腎臓摘出法と、腎臓を摘出する側(左もしくは右)の側腹部から下腹部にかけて大きな切開を加えて腎臓を直接見て摘出する方法があります。ドナーの体格や手術歴などを考慮し、本人の希望も伺いながら手術方法を決定します。
Q:提供者の入院期間はどれくらいになりますか
A:提供者は移植手術の前日に入院となります。手術の方法により術後の入院期間は異なりますが、腹腔鏡下腎臓摘出法の場合は手術後5日の入院となります。腹部を大きく切開する方法の場合は手術後7~10日の入院となります。退院後はいつ仕事に復帰してもかまいません。平均すると退院後1週間自宅療養の後に職場へ復帰する方が多いようです。退院して1ヶ月以内に外来受診を行い、以後は定期的に経過をみていきます。
Q:提供者の費用はどれくらいですか
A:生体腎移植の場合、提供者の医療費に関してはレシピエントの保険でまかなわれます。しかし、移植が行われなかった場合には、それまでに行った全ての費用が自費扱いとなります。何らかの病気が見つかった場合には、その病気に対する検査・治療開始時から保険診療扱いとなります。
移植手術が行われた場合の提供者は、自分の保険を一切使用していませんので生命保険への入院給付申請が出来ないことになります。(詳しくは保険会社にお問い合わせください)また、レシピエントの保険で賄われるのは移植手術に伴うドナーの検査、処置、入院となっています。移植後長期的なドナーの健診は含まれませんので、術後の定期受診費用は自己負担となります。
Q:献腎移植を希望しています手続きの方法を教えてください
A:献腎臓移植手術を受ける移植施設を受診して日本臓器移植ネットワークへ登録します。埼玉医科大学国際医療センターで腎臓移植を受ける希望の場合には、埼玉医科大学国際医療センター臓器移植センターで登録を行います。
簡単な病状聴取、移植医療・献腎移植の説明、組織適合性検査のための採血を行います。検査結果の報告書が届き次第、当センターから登録用紙を日本臓器移植ネットワークに送付します。移植施設より送られた登録用紙と患者様からの登録料の振り込みが確認され、両方が揃った段階で登録が成立します。登録が完了すると日本臓器移ネットワークより登録完了の通知がお手元に届きます。
Q:最初に登録した施設を変更する事はできますか
A:できます。日本臓器移植ネットワークもしくは現在登録している移植施設へ連絡して「移植登録者変更届」に変更内容を記載して日本臓器移植ネットワークへ提出します。当院へ施設変更を希望される方は移植コーディネーターの面談を必須にしています。当施設へ変更される方は必ずご連絡ください。
Q:献腎移植の費用はどれくらい
A:登録に関する費用は自己負担です。登録料は30,000円、検査費用は21,600円です。また、登録の年間更新料として5,000円を日本臓器移植ネットワークへ振り込まなければなりません。実際に献腎移植を受けた場合には、病院へ支払う医療費のほかに、日本臓器移植ネットワークへ支払う費用が発生します。詳しい内容に関しては登録時にパンフレットをお渡ししています。
Q:献腎移植の登録時に必要なものはありますか
A:現在通院している病院からの紹介状を準備して下さい。外来予約センターで予約を取り、紹介状と健康保険証を持ってD棟2階のコンシェルジュで受付をして下さい。登録を行った場合は、お帰りの際に会計窓口で検査費用21,600円をお支払いいただきます。登録料の30,000円は郵便局より日本臓器移植ネットワーク指定口座に振り込んでください。登録申請用紙に、緊急時の連絡先や携帯電話の番号を記載します。緊急時に連絡をする方の電話番号も控えて来てください。
Q:登録者はどれくらいいますか
A:2016年9月末現在、腎臓移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録している方は12,623名です。正確な人数は日本臓器移植ネットワークのホームページ上で(毎月データー更新)確認できます。
Q:年間どれくらいの献腎移植がありますか
A:通常、1人の提供者から2人の方へ腎臓が移植されます。
登録希望者の数と比較すると厳しい現状です。
Q:登録をした後はどうすればよいですか
A:1年に1回以上は移植を希望している病院へ受診して下さい。今までと同じように維持透析施設に通院してください。適合するドナーの発生があり、あなたが候補者として選ばれた場合には移植施設の担当医師またはコーディネーターより連絡が入ります。日中・夜間問わず突然連絡が入ります。移植を受ける意思がある場合には提供者とのリンパ球直接交差試験を開始します。このリンパ球直接交差試験が陽性であった場合には移植を受ける事ができません。陰性であった場合に候補者となります。移植施設から今後の予定について具体的な連絡が入ります。
Q:移植候補者として選ばれて断ったら後回しになりますか
A:移植候補者の決定は、腎臓移植希望者選択基準によって選ばれます。この選択基準のポイント合計の高い人が1番目の候補者となります。提供者が現れた場合は、毎回この腎臓移植希望者選択基準によって候補者が選定されますので、断ったからと言って後回しになることはありません。言い換えれば、前回3番目の候補であると連絡が来たから、次は1番目・・・ということにはなりません。新たに候補者の選定となりますので、次はまた3番目の候補者として意思確認の連絡がいくかもしれません。
Q:腎臓移植の相談をするにはどうしたらよいですか
A:当臓器移植センターには専従の認定レシピエント移植コーディネーターがいます。具体的な事は何も決まっていなくても大丈夫です。初診時に移植医療について詳しくご説明いたします。移植について迷っている方や少し話を聞いてみたいだけという方も、お気軽にご相談ください。
名誉病院長、特任教授
客員教授
准教授、埼玉医科大学病院 腎臓内科
准教授
助教
レシピエント移植コーディネーター、看護師
臨床検査技師
臨床検査技師
埼玉県移植コーディネーター
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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初診 | 小山 勇 | -- | -- | -- | -- | 岡田 克也 |
午前 |
小山 勇 井上 勉 梅木 恵理 (移植相談) |
-- | -- | -- | -- |
岡田 克也 梅木 恵理 (移植相談) 野口 隆雄 (移植相談) |
午後 | -- | -- | 献腎登録者外来 | -- | -- | -- |